DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)の表紙

ビジネス・人生設計

DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)

ビル・パーキンス

ダイヤモンド社

この一冊で何が変わるか

貯金の不安で動けなくなっていた人が、「今しかできない経験にお金と時間を使っていい」と思える。お金より先に減る「時間」と「経験できる体力」に目を向け、人生の使い方を自分で設計する視点が手に入る。

お金はいつでも取り戻せる。でも、時間は戻ってこない。

通帳の残高が増えると、少しだけ安心する。その安心のために、私たちは何を後回しにしてきただろう。

ビル・パーキンスの『DIE WITH ZERO』は、お金の本の顔をして、実は「時間」の本だ。著者の主張は、タイトルそのまま——死ぬときに資産をゼロにせよ。ぎょっとする。普通は逆を教わってきた。少しでも多く貯め、備え、残す。それが正しさだと。

だが著者はこう問い返す。使われなかったお金は、ただの数字のまま消えていく。あなたが我慢して積み上げた残高は、結局あなたの人生の何にもならなかったかもしれない、と。

刺さるのは、お金には貯められても経験には「賞味期限」があるという指摘だ。20代でしか味わえない旅がある。子どもが小さいうちにしか作れない記憶がある。体力のあるうちにしか登れない山がある。お金は後からでも取り戻せるが、その時期の自分はもう戻ってこない。

もちろん、明日からすべて使い切れという話ではない。著者が言うのは順番の問題だ。いつ、何に、どれだけ使うかを、漠然とした不安に任せず、自分で設計する。

読み終えて残るのは、罪悪感ではなく、許可証のような感覚だ。「お金を使ってもいい」のではない。「今しかできないことに、ちゃんとお金と時間を向けていい」——そう背中を押される。貯めることに慣れすぎた私たちが、ずっと聞きたかった言葉かもしれない。

週末、残高ではなく、今しかできない一つの経験について考えてみる。この本は、その小さなきっかけをくれる。

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